『ショートピース』 大友克洋傑作集3 大友克洋 その4


『ショートピース』   大友克洋傑作集3 大友克洋 その4
 全1巻 初版1986年5月 アクションコミックス


この本は、最初は奇想天外社で1979年に出されている
探しているが、絶版でもう手に入らないと思ったら、結構ネットで出ている
そのうち買うが、私が持っているこの本は、双葉社が復刻して出してくれたもの
大友克洋の、最初の作品集である


面白いのは間違いないのだが、それより何より
言葉を失う、と言ったほうがより近い


収録は、9作の短編
宇宙パトロール・シゲマ
'ROUND ABOUT MIDNIGHT
School-boy on good time
任侠シネマクラブ
大麻
WISKY-GO-GO
NOTHING WILL BE AS IT WAS
夢の蒼穹
犯す
付録の作品リスト(1973〜1983)


内容がスゴイ!
高校生のAV(当時はブルーフィルムと言った)、大麻、アンパン(シンナーのこと)、女子高生をレイプ、乞食に弟子入り、戦場でウンコ・・・


どれもこれも、現在ではなかなか表現できないものであるが、これをかなりリアルに描ききっている
でも、一番スゴイというか、エグイと言うか、グロいのは


人を殺し、バラバラにし、それを食う・・・


ちょっと心臓の弱い人とか、読んじゃダメ
気の弱い人は、吐くかもしれない


しかし、これをもって大友克洋が、アブノーマルだとか、反社会的だとか、犯罪者予備軍であるとかのたまうのは、完全な筋違い
筒井康隆の作品などもそうだが、こういった人たちの作品は、誤解されやすい
一般に常識のある人と自称する人たちは、こういった作品を非難するし排除するが、それは見る側・読む側の主観や主体性に任せるべきだと思う
きりがなくなるから止めるが、まあ、それだけ作品の内容が鬼気迫るすごさがある


すごいのは、内容ばかりではない
その、画


大友克洋のパース・手法は、いまでこそ当たり前になるくらい、後世の漫画家に取り入れられているのだ
アングルも、現実では有り得ない位置から見たもの、鳥瞰図などは当たり前、喪失点がどこにあるかわからないくらいのスケールの大きい画
こまかい描写、まるで映画やドラマを見ているようなコマ割りのスムーズさ


前にも書いたが、私は評論家ではないし、語彙も貧相なので上手く表現が出来ないのだが、
とにかく大友克洋を一般的に評することは、難しい
それは他の人にも共通しているようで、だから彼を【ニューウェーブの漫画家】と呼んでいるのだろう


ただ、読んでもらうしかない
好き嫌いがあるかもしれないが