『オーロラの牙』 戦場漫画シリーズ3  松本零士 その8


『オーロラの牙』    戦場漫画シリーズ3  松本零士 その8
 
 全1巻(シリーズ9巻)  初版1976年1月 少年サンデーコミックス


この巻は、おもにドイツ軍と日本軍を中心に描かれている
また、戦車戦、空中戦、海戦と、兵器での闘いが中心で、今までのような肉弾戦は無い


この作品には、6話、収録されている
第1話:オーロラの牙
第2話:ラインの虎
第3話:ベルリンの黒騎士
第4話:ゼロ
第5話:音速雷撃隊
第6話:幽霊軍団


中でも、【桜花】=人間爆弾
人間がミニロケットの中に乗り込み、1.2トンの爆薬を積み、音速で敵戦艦に体当たりする
いわばロケットの棺桶
これが発射されれば、いかなアメリカ戦艦でも太刀打ちできない
だから、一式陸攻を死神のように恐れ、護衛する零戦を死に物狂いで打ち落とす


かわぐちかいじの『沈黙の艦隊』にもある、北極海での海戦
結果は相撃ちで、戦艦も潜水艦もともに北海の藻屑と消える


キングタイガー、エレファントなど、アメリカ軍戦車を蹴散らす重戦車での戦い
でも、燃料が無くなれば、即鉄の棺桶
弾を打ち尽くせば、ただの箱


一番最後に、少しSFが入っている


作品に出てくるどの兵隊も、もとをただせば、画家志望だったり、漫画家志望だったり、ロケット技師志望だったり
これらの若者が、あと30年生きていたら、世界の歴史は変わったであろう
そのようなことを松本零士は言っている


死を賭して、勇気と誇りを守り、意地と根性で戦い、信念と友情を貫き、夢と恋人と家族を捨て、いつ死ぬかわからない恐怖と空腹の中、人知れず死ななければならなかった当時の若者達
あまりに悲惨で壮絶な、短い人生だ
・・・満ち足りている生活の中で、不平不満を云い、安全は当たり前のことであり、ただ生きていることのありがたみを失ってしまった今の私たち


漫画でいいから読んで、少しは考え直そうよ
100年に一度の不況なんて、屁みたいなもんだ